AマイナーからAメジャーへの転調
The Beatles – Things We Said Today (2009 Stereo Remaster)
Things We Said Today (Lennon/McCartney)
THE BEATLESの3枚目のアルバム “A HARD DAY’S NIGHT”の10曲目
“Things We Said Today“、邦題は “今日の誓い“。
実質ポールの作品で、リード・ボーカルはポールが担当。
イントロから聴けるアコースティック・ギターがとても印象的な曲。
この曲は、ビートルズ解散後も、ポールはwingsやソロでも演奏していて、
ポールお気に入りの1曲のようです。
曲はAmからはじまってサビでAメジャーに転調します。
ポールは、同じキーのマイナーからメジャーへの転調について、
何で読んだかは忘れましたが、
“デビュー前からベサメムーチョのようなマイナーからメジャーに転調する曲が好きだった”。
みたいなことを言ってました。
“Things We Said Today“もベサメムーチョと同じようにサビでメジャーに転調します。
イントロとAメロ |Am Em|の繰り返し Bメロ(最後にAメジャーになります) | C | C7 | F | B♭ | |Am Em| Am |Am Em| A | サビ | A | D7 | B7 | E7 | | A | D7 | B7 | B♭7 |
Bメロの最後で今までAマイナーだったのがAメジャーになっています。
ちょっと音質は悪いですが、ポールはライブで必ずここで客を煽ります。
またこの瞬間からメジャーの世界にいる間だけバンドの演奏はテンションをあげます。
これは偶然ではなく、明らかに意図としたパフォーマンスだと思います。
The Beatles-Things We Said Today (Live)
この曲のマイナー、メジャー間の説明を簡単にさせてもらいますと、
まず、大きくはAマイナーからAメジャーに転調します。
その転調は間奏終わりのEマイナーからAメジャーのコード進行でいきなり行われます。
サビはAメジャーの世界。
コード進行は、
Ⅰ → Ⅳ7 → Ⅱ7 → Ⅴ7 Ⅰ → Ⅳ7 → Ⅱ7 → ♭Ⅱ7
と4小節目と8小節目のコードが変化しています。
これはドミナントの裏コードで、機能的には(Ⅱ7 → Ⅴ7)の展開系です。
要するにツーファイブの展開系です。
そしてそのツーファイブの展開系で(Ⅰ)トニックに戻るのですが、
サビは終わって何事もなかったかのようにAメロに戻ります。
そしてそのAメロのトニックはAメジャーではなくてAマイナーです。
(AメロとコードのAがややこしくてすみません)
サビでいきなりAメジャーに転調しておいて、
サビが終わった瞬間何事もなかったかのようにAマイナーに戻る。
この何事もなかった感には”B♭”というコードが一役買っています。
サビの終わりでも出てくるのですが、Bメロで一度出て来ています。
| C | C7 | F | B♭ | |Am Em| Am |Am Em| A |
このB♭は、
その手前の| C | C7 | F |の流れからいくと、
C7 → F によって一度Fに転調したとしたら(Ⅳ)サブドミナントの役割になります。
また、その次のAmから見たら、Ⅴ7となるE7の裏コードの♭Ⅱ7のセブンス抜きの形にも見えます。
いい具合に中間的な役割で機能しています。
ただこのB♭自体はそこまで驚く使われ方はしていません。
大切なのは同じキー(調)でマイナーからメジャー、メジャーからマイナーへの転調をしてるということです。
“From Me To You“”I Want To Hold Your Hand“などでは(Ⅴ)ドミナントがメジャーになったりマイナーになったりしましたが、
ここでは(Ⅰ)トニックがメジャーになったりマイナーになったりしています。
ファンの女の子やビートルズマニアがキャーキャー騒いでる中で、
ジョンとポールは確信的にこういったことを行っていました。
そしてこの先も、常に新しいことを発見し取り入れていくスタイルが、
ビートルズの曲をさらに開花させていくことになるのです。

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