激しくぶつかるメジャーとマイナー
You Can’t Do That (Lennon/McCartney)
THE BEATLESの3枚目のアルバム “A HARD DAY’S NIGHT”の12曲目
実質ジョンの作品で、ジョンがリード・ボーカルを担当
コーラスはポールとジョージがしていて、間奏のギターソロは珍しくジョンが弾いてます。
wikipediaによると、この曲についてジョンは、
「当然、シングルのA面を取れるものと思っていた。しかし結局はB面になった。理由はポールの作ってきた「キャント・バイ・ミー・ラヴ」がそれ以上によかったからさ」
と語っていたそうです。
ジョンとポールはどちらの曲がA面になるかを争っていて、
その判断は初期の頃はプロデューサーのジョージ・マーティンが下していたそうです。
この曲は音も強烈ですが、歌詞も強烈です。
内容だけ書かせてもらうと、
お前、今度あの男と喋ってるところを見たら、
ただじゃおかないぜ。
だって前にもそんなことするなって言っただろ。みんなお前をものにした俺に嫉妬してるんだ。
なのにお前があいつと喋ってるところを誰かに見られたら
俺が笑い者にされるだろ。俺の女でいたいんなら言う事を聞きな。
言う事聞かなかったらただじゃおかないぜ。
って感じです。
時代は変わりましたね。
こんなに男が強く言える時代だったんですね。
いやいや、それでもちょっと惨めな部分もある内容ですが。
後にフェミニスト宣言するジョンですが、まだまだこの頃はこういう感じだったんですね。
さて、この曲の音楽的なことは、
もうこれに尽きるんじゃないでしょうか。
マイナーの音とメジャーの音がぐちゃぐちゃ
イントロから早速メジャーマイナーの音が、入れ替わり立ち代わりで出て来ます。
曲のキーはGでスリーコードには全てセブンスがついてます。
G(ト長調) = ソ ラ シ ド レ ミ ♯ファ ソ (Ⅰ7)G7 = (ソ シ レ ファ) (Ⅳ7)C7 = (ド ミ ソ ♭シ) (Ⅴ7)D7 = (レ ♯ファ ラ ド)
トニック(Ⅰ)から早速セブンスがついてるので、
“♯ファ”が半音下の普通の”ファ”になっています。
ドミナント(Ⅳ)にもセブンスがついてるので、
“シ”が半音下の”♭シ”になってます。
音階がコードの度に入れ替わるのです。
しかしジョンが歌うメロディーは、そんなことはおかまいなしに、
コードとぶつかる音をこれでもかと言わんばかりに歌ってます。
まずは、イントロの音遣いを見てみましょう。
コードはGなのですが、ギターのフレーズは、
“♭シーシソ♭シシソシー”
と、♭シと普通のシを行ったり来たりしています。
これは強烈ですねー。
そこに入ってくるバンドのコードは”G7”。
“G7”にギターフレーズの♭のシの音がなる時、
G7 = (ソ シ レ ファ) + ♭シ
という響きになるので、シと♭のシが完全にぶつかってます。
このようにコードがメジャーコードなのに、メロディーがマイナーの音、
というのが他にも出て来ます。
“Because I told you before oh〜“の、バンドがブレイクする手前のキメの部分。
(0:21〜)
コードは”D7”ですがメロディーは普通のファの連発です。
D7 = (レ ♯ファ ラ ド) + ファ
その後の”You can’t do that“の”that“の部分。(0:25〜)
コードはG7ですが、メロディーは”ド ♭シ ソー”とフラットのシがでてきます。
G7 = (ソ シ レ ファ) + ♭シ
コードチェンジの度に音階が変化して、メジャーとマイナーの音が入れ替わってる中で、
メロディーはそんなことおかまいなしにコードと激しくぶつかり合っています。
キメの”Because I told you before“の部分なんて、
メロディーは”ファ”だけ。そのぶつかってる音だけですからね。
アルバム”A HARD DAY’S NIGHT“では、
ビートルズが好んで聴いてきた、演奏してきた曲が、何故かっこ良くて、何故気持ち良かったのか。
そういったことを検証して、自分たちの作品にも本格的に取り入れ出した。
そんな感じがします。
この”You Can’t Do That“も、スリーコードのロックの気持ち良さを確かめるかのような曲だと思います。
演奏面では、ポールのベースが16分で動くフレーズを弾いていて、
後の”Taxman“なんかのベース・プレイに繋がっているような気がします。
You can’t do that – Beatles (Clip)
The Beatles – You cant do that live ( HQ )

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