All My Loving

ポールは完璧な作曲能力がある

The Beatles – All My Loving

 

All My Loving (Lennon / McCartney)
THE BEATLESの2枚目のアルバム “WITH THE BEATLES” の3曲目

クレジットは(Lennon / McCartney)となっていますが、実質はポールの作品です。
ジョンはこの曲を非常に評価していて、”ポールは完璧な作曲能力がある”とまで絶賛したと言われています。

またインタビューでジョンは、
「これは残念なことにポールの曲だよ。(笑)/原稿にここで「笑」と入れといてくれよ。くやしいほどいい曲さ。(歌い出す)バックで思い入れたっぷりのギターを弾いているのがぼく。」〜 wikipediaより 〜
と語ったそうです。

さらにジョンは「どうしてこの曲を俺が作らなかったんだ」と悔しがったという話も聞いたことがあります。

ジョンの悔しがり方と誉めたたえ方は気持ちの良いものがありますね。
ビートルズの良いところは、誰のアイデア・誰の作品であれ、優れているものにはちゃんと敬意を払うことです。
事実、ビートルズは誰のアイデアであっても優れたアイデアは必ず採用したそうです。

さて、ここまで誉めたたえられた実質ポールの曲”All My Loving“。
曲はロイ・オービソンとのツアー中のバスの中で作曲したそうですが、
本当にアイデアいっぱいの素晴らしい曲・アレンジです。

歌詞は、
明日から離れ離れになるけど いつでも君を想っているよ
毎日手紙を書いて 僕のありったけの愛をこめて君に送るよ

といった内容で、単純なラブ・ソングの中にも少し切なさや寂しさがにじんでいます。

曲の分析なのですが、
曲はジョンの言う通り素晴らしい完成度だと思います。
よほどジョンは悔しかったのか、Aメロではバッキングギターでひたすら三連符で刻みます。
この曲にこのギターを弾く人はなかなかいませんよ。ジョンならではだと思います。

では、少し細かく見ていきたいと思います。

まず歌い出しの”Close your“の部分が3拍目から入っているため、
ポールはライブでカウントする時”ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ”とカウントして、一拍休んで歌いはじめます。
これがまたかっこいいんですが、それなら”ドラムがカウントすればいいじゃん”って話なんですが、ビートルズはポールがやるんです。
デビューアルバム”PLEASE PLEASE ME“の一曲目の”I Saw Her Standing There“もポールがやったんです。
アンソロジーのアウトテイクとかを聴いてもほとんどポールがカウントを取ってますし、演奏面で皆ポールを信頼してたんですね。

歌い出しの”Close your“はボーカルだけで、次の”eyes and I’ll kiss you“からバンドが入ってきます。
その入ってきた時からいきなり下降し始めるポールのベースがかっこ良いのですが、
その入ってきた瞬間のコードがF♯mです。
コード進行は、

| F♯m | B | E | C♯m |
| A | F♯m | D | B7 |

あくまで一般的な解釈を書かせてもらいますと、
曲のキーはEで、このコード進行は、

| F♯m(Ⅱm) | B(Ⅴ) | E(Ⅰ) |

といった形で、頭のトニックを抜いたツーファイブの形でその次のEに解決する、
といったことだと思います。

その後も順調にEのキーでいくのですが、
7小節目にDのコードが出て来ます。

はて?
キーがEなのにD?
歌詞で言ったら”I’ll always be true”の”トゥルーーー”って伸ばすところです。(0:10)

この音を説明するのは非常に難しいですし、
また解釈も人それぞれだと思います。

まず、これを気持ち良いと感じるか、気持ち悪いと感じるか、
これは人生の岐路に立っていると言っても過言じゃありません。(過言です)

このコードをビートルズは非常によく使っています。
ちょうど同じような使い方をするのは”Yes It Is“の”Remember what I said tonight〜“の”トゥナーーーイ”って伸ばすところです。(0:15)

このコードの部分は、ちょっと特殊な雰囲気になりますよね。

この音を説明しきれるほどの能力は私には御座いませんが、
このコードは明らかにビートルズにとって、また現代のポップ・ロックミュージックにおいて、重要なコードだと思います。
私なりの解釈は最後に書かせていただきますが、このコードによって”All My Loving”は一段上の曲に仕上がっていると思います。

さて、音源では2番から上ハモが入って2声になりますが、初期ビートルズには珍しくポールがメインも上ハモも一人でレコーディングしています。
ポールの上をジョンが歌うのはキツかったのでしょうか?
確かに上ハモの高さは、メインならいいけど、ハモリにしてはジョンにはちょっと高いかなって思います。

ちなみにライブでは、さすがのポールでも一人でメインとハモリは歌えないのでジョージ・ハリスンが歌ってます。
ただ、2番からはジョージがメインを歌って、ポールは上ハモに回ります。
ジョンはひたすら三連符を刻み続けます。
三連符を刻み続けて歌うのはさすがにキツかったか。。。

ギターソロも印象的で、ジョージ・ハリスンの貢献度もなかなか高い曲ですね。

この曲をバンドで演奏するのは聴いた感じよりはるかに難しいと思います。
かっちりと御上品な演奏なら簡単でしょうけど、
ビートルズのような渦を巻いてるような演奏はなかなか出来るもんじゃありません。
ビートルズはバンド演奏の一体感がハンパないんで。

ではコード”D”の私なりの解釈を。
まず、ロックのスリーコードには全てセブンスがついているので、キーがEの場合は、
E7(ミ ♯ソ シ レ)
A7 (ラ ♯ド ミ ソ)
B7 (シ ♯レ ♯ファ ラ)
となって、レの音はE7の時はフラット、B7の時はシャープしてます。
また、ソの音はE7の時はシャープ、A7の時はフラットしています。
キーEからみた、7度の音と3度の音はシャープしたりフラットしたりするのです。

また、ロックで良くある歌のメロディーとして、
E7 (ミ ♯ソ シ レ)のコードに対して歌はソのフラットを歌うことが良くあります。
メジャーとマイナーの音がぶつかってる状態です。

メジャーとマイナーを行ったり来たり、または同時に鳴ったりするんです。
そして、セブンスの音も同じく、行ったり来たりします。

なので音階が常に変化してるような、そもそもメジャーとマイナーが同時に存在してるようなことが起きてるのだと思います。

さらに、E7というのはAから見たらドミナント7なので、
E7 → Aという動きは一時的にAに転調してるとも考えられます。
ただAにも7がついてるので転調としては完成してないとも言えます。
だとしたらE7だってそもそも7なんだからトニックとして曖昧な状況だと思われます。

要するに、
メジャーとマイナーを行ったり来たりしながら、
転調してるようなしてないようなことを繰り返してる
んだと思うんです。

ビートルズの曲の場合、キーが同時に2つ存在(平行調を入れたら4つ)してるような感じの瞬間が多いと思います。

All My Loving“の場合は、
E(C#m)とA(F#m)の世界を行ったり来たり、またはその間でいたり、そういうことだと思います。

その間に存在してるのが”D”なんじゃないかなって。
Aのスリーコードは A D E で、Aのサブドミナントですからね。

けっこう長く書かせてもらいましたけど、
半分ぐらいしかうまく言えてないですね。

まあ言葉で何万言喋っても響きは変わらないんで。
百見は一聞に如かず
答えは音楽の中にありますね。


The Beatles 1st Ed Sullivan Performance (REMASTERED)

Paul McCartney – All My Loving (Live in Quebec 2008)

山崎まさよし – All My Loving (Beatles)

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